(※2023/2/24(金)に更新しました)
こんにちは!背徳太子です!
今回は日本を代表するエアラインであるANAホールディングスの中期経営計画を解説していきますよ!
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今回は”ANAホールディングス”の中期経営計画の内容を解説していきます。
2月15日(水)にANAホールディングス(ANAHD)が2023~2025年度の中期経営計画を発表しました。
パンデミックにより最も影響を受けたと言っても過言ではない航空業界ですが、もちろん日本を代表するANAHDも例外ではありません。
パンデミック中にはJALとともに公的資金の注入まで囁かれたほどダメージを負った航空業界ですが、ピークを乗り越え、旅客需要の回復とともに最新の決算では今年度は黒字化が見込まれるとの発表がありました。
そんな史上最大の危機を乗り越えたANAHDですが、巻き返しを図るべく2023~2025年度の中期経営計画を発表しました。
今期はその発表内容について詳しく解説していきますので、どうぞご覧になってください!
(※以下ANAHDの中期経営計画のスライドから抜粋していきます)
戦略の概要
色々書いてあるのでパッとみて理解が難しいですが、重要なポイントを以下にまとめました。
- 2023~2025年度を「ウィズコロナ」期として定義、26年以降のポストコロナ期の成長に向け、足元を固める時期として設定
- ウィズコロナ期では①エアライン事業の利益最大化②航空非連動の収益ドメインの拡大③持続的成長に向けたANA経済圏の拡大を事業戦略の3本柱として掲げる
ANAはエアライン事業はもちろんですが、それと連動しない事業分野にも取り組んでいます。
もちろん旅客需要の回復に合わせて航空事業の利益最大化を目指すことは当然ですが、それだけでなく、航空非連動の分野でも事業領域を拡大していきたい、というのはポイントかと思います。
背景には、パンデミックにより会社の存続すら危ぶまれる状況となったことで、今後も航空事業が必ずしも安泰とは言えず、航空分野と異なる事業ポートフォリオをより一層厚く持つことで、分散化させてリスクヘッジしたい思惑があるのでしょう。
また、”ANA経済圏“とありますが、これは主にマイレージ会員制度を用いた経済圏と考えてもらえば良いと思います。
ここからは事業戦略の3本柱について、特に中核事業である航空事業を中心に詳しくみていきます。
3本柱①エアライン事業の利益最大化
事業ポートフォリオ
エアラインと言ってもANAHDは複数のブランドにより航空事業を展開しています。
まずは最も一般的で有名なのはANAでしょう。
いわゆるフルサービスキャリア(FSC)と言われたりますが、従来型の旅客サービスを提供している航空会社で、基本的には、複数の座席クラス(ファースト・ビジネス・エコノミーなど)を提供し、機内食や飲料も予め運賃に含めて提供します。
これと対比されるのが peachでしょう。
こちらはローコストキャリア(LCC)で、FCCとは逆に機内食などが省略され、コストを抑えて安く航空券を提供する特徴があります。
そして3つ目として今後サービスが始まるAir Japanで、これはFSCとLCCの中間的(ハイブリッド)な位置付けになることが予想されています。
このように、複数のブランドを保有していますが、具体的には以下3つの戦略により、市場シェアを拡大していく方針としています。
- マーケティング・販売の連携
- ブランド間の回遊性向上
- 協業・機能集約
同じグループ内なので、顧客データや販売のナレッジ等は共有することでより一層複数ブランドを持つ強みが発揮されることが期待できます。
また予約サイトも各ブランド間で連携してUIを改善させるなどすれば、顧客ごとに異なるニーズを取り込むことが可能となることが期待されるので、収益の向上にもつながることでしょう。
さらには、機体の調達や整備の面ではグループ内で集約することにより、コストなどの観点で優位性を発揮できることが予測されますね。
旅客需要の見通し
航空事業において最も重要となるのはパンデミックにより急激に落ち込んだ旅客需要の回復です。
上図の下段は2019年1~12月の実績を100%とした場合の旅客数の推移を表したグラフです。
国内旅客は、2023年度にはコロナ前の水準まで戻ることが予想されている一方で、国際線はまだまだ回復が鈍く、70%に留まることが予測されています。
国際線は2025年度には100%にまで回復する見込みであり、それまではコロナ前までの収益を計上することは難しい模様ですね。
国際線・国内線事業の状況についてもう少し詳しくみていきましょう。
国際線事業戦略
まずは国際線から見ていきます。
こちらは戦略のポイントとして①国際線を中長期的な成長軌道に②3ブランドでポストコロナの需要を幅広くカバーすることを掲げています。
上記の通り、国際線の旅客需要が戻るのはもう少し後になることが見込まれているため、短期的な収益の回復を見込むことは厳しいため、中長期的に運航を再開・増便させていき、需要に合わせて供給力を回復させていくことが予想されますね。
具体的には2025年度には供給力がコロナ前までの水準に戻る想定で考えられているようです。
また、ANA、peach、Air japanの3ブランドによりビジネスやレジャーなど様々な目的の需要に応える体制を整えていくことが掲げられています。
特にビジネスやレジャー目的となる顧客が集中している関東圏を中心に各ブランドで運航の再開や増便をしていくことが計画されているようです。
国内線事業戦略
次に国内線を見ていきます。
こちらは戦略のポイントとして①グループ全体で安定した事業基盤を構築②2023~25年度でコロナ前並みの生産量に回復することを掲げています。
国内線に関しては2023年度にはすでにコロナ前とほぼ同等の水準まで需要が回復する見込みであり、ANAとpeachにより路線や便数を機動的に調整することで、供給力を回復させてその需要を取り込む戦略とされています。
グループとしては、なかなか需要が回復してこない国際線には期待できないため、ANAとpeachの2ブランドによって様々なニーズに応えることできる体制を整えることにより、国内線のシェアを向上させて安定した収益を計上したいところでしょう。
貨物事業
ANAは国際線・国内線のほかに貨物事業も展開しています。
コロナ禍では旅客需要が大きく減退した一方で、貨物事業は旺盛な巣篭もり需要により需給は逼迫することになり、結果としてグループの収益を下支えすることになりました。
こちらは戦略のポイントとして①「稼ぐ」ための構造改革を推進②「コンビネーションキャリア」の強みを発揮することを掲げています。
具体的には貨物需要が旺盛な北米/アジア間では大型の貨物機を投入して需要を取り込み、成長するアジア圏内では中型の貨物機や旅客機のベリーを有効活用してしっかりと稼いでいくことが見込まれています。
フリート戦略
次に「フリート戦略」を見ていきます。要するにどのように供給力を上げていくかについてです。
コロナ前ではグループ全体で300機の機材を保有していましたが、コロナ禍ではコストカットのために一気に機材を減らし、2022年度は267機となりました。
今後、旅客需要が回復するにつれて、それをしっかりと取り込むべく供給力を強化する必要がありますので、フリート戦略は非常に重要なファクターとなります。
具体的な戦略としては、①事業規模に合わせて航空機数を徐々に拡大②経済的・社会的価値を同時追求することを掲げています。
まずは機材の種類についてですが、今後は中・小型機を中心にして増加させていくことを目指されていますね。
コロナを経験して、よりリスクを限定して資産を持つことを意識されているのでしょうね。
大型機は収益を計上するという観点ではかなり貢献されますが、一方でコロナ禍などの有事の際にはコストが重くのしかかり、経営を圧迫する要素となります。
そのような背景から、中・小型機の保有比率を高め、座席の利用率を向上させ利益率を高めることに重点を置く戦略となっています。
また、保有機材は今後も成長することが期待される国際線への投入を増やしていき、成長分野へのリソースをどんどん増やしていくことも目指されています。
さらに、ただ単に「稼ぐ」だけではなく、環境に配慮した機材を増やしていき、社会的な価値を追求することも同時に掲げられています。
航空業界は最もGHGを排出する業界の一つと言われていますから、昨今の環境意識の高まりを受けて、対応いていくことも目標にしているのですね。
3本柱②航空非連動の収益ドメインの拡大
コロナの影響により、航空事業が壊滅的となり会社の存続が危ぶまれたことを教訓としてでしょうか、航空事業以外の分野でも収益を上げることを掲げられています。
旅行や物流など、既存の中核事業の収益をさらに拡大させていくとともに、地域創生や不動産などの事業はさらに強化していき、中核事業にステップアップさせていくことが掲げられています。
さらには、メタバースやエアモビリティ、ドローンなど、新規の事業を手掛けて事業計画を進めていくようですね。
定量的には2025年度に売上高4,000億円、営業利益240億円を目指しており、コロナ前と比較しても利益を大きく改善することを目指していく方針です。
3本柱③持続的成長に向けたANA経済圏の拡大
最後にANA経済圏の拡大についてです。
こちらの事業の目的として「マイルで生活できる世界」を実現し、ANA経済圏を早期に拡大することを掲げられています。
現在のANAマイレージクラブアプリの充実化を図るとともに、決済機能ANA Payを付加することでさらなる会員数の増加や収益化を目指しているようですね。
さらにはECモールとして「ANA Mall」をリリースされる予定で、ANA経済圏の拡大が期待されます。
さいごに
今回はANAHDがリリースした最新の中期経営計画について解説していきました。
最後にコロナ前からの株価推移を見てみましょう。
こちらは直近5年間のANAHDの株価推移を示しています。
コロナ前は3,600円台をつけていましたが、そこから急転直下で急落していきました。
特にコロナの発生直後となる2020年の春頃には2,100円台まで下落し、結果として一気に40%以上落ち込んだことになります。
その後、株価は上昇と下落を繰り返し、現在は2,700円台まで回復してきています。
まだまだ国際線の回復は時間かかりそうですし、元の収益まで戻る確度が高まらない限りは株価も戻ってこないでしょうから、旅客需要の回復状況はこれからも注視していきたいと思います。
これからも皆さんの投資判断のサポートとなる情報を発信していきますので、宜しければご参考にしてください!
今回は以上となります。ご覧いただきありがとうございました。
背徳太子
ブログ1年目の駆け出しブロガーです。
社会人をスタートさせ2年半程度で資産1,000万円まで到達しました。
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