【FY22 3Q決算レビュー】三菱商事が上方修正&増配&自己株式追加取得を発表しました!

日本株決算

(※この記事は2023年2月4日(土)に更新しました。)

今回は2月3日(金)に決算を発表した三菱商事の3Q決算についてまとめていきます。

この時期は各企業が続々と決算を発表します。
私が大好きな高配当銘柄を中心に、注目企業をピックアップして内容をレビューしていきますので、ぜひ投資判断のヒントとしていただければ幸いです。

米国の歴史的なインフレやFRBの金融引き締め政策の実行、またそれに伴うリセッション懸念や、まだまだ終わりが見えないロシアによるウクライナ侵攻、原油をはじめとする資源価格の高騰など、事業環境は非常に複雑で先の見通しが困難な状況です。

それゆえに、注目企業の決算を確認することにより、正確な実態を把握することができますので、投資家にとっては大変重要な情報を得る機会となります

本日レビューするのは人気高配当銘柄の”三菱商事”です

尚、同日決算発表した伊藤忠商事についてはこちらでまとめておりますので、ぜひチェックしてみて下さい!

(※当記事のスライドは三菱商事の決算発表資料から抜粋してます)

3Q決算の概要まとめ

三菱商事が発表したスライドを用いてご説明します。

決算サマリー

以下ポイントをまとめます。

  • 当期純利益は9,558億円(前年同期比+3,110億円)で過去最高益を計上!
  • 通期の見通しは11月に公表した10,300億円から+1,200億円となる11,500億円に上方修正!
  • 1株あたりの配当金は11月公表の155円から+25円となる180円に大幅増配!!
  • さらに自己株式取得は追加で+1,000億円の合計1,700億円に拡大!!!

これはもう100点満点の決算と言っていいのではないでしょうかっ!笑

3Q決算ですでに当期純利益は9,558億円に到達し、昨年の史上最高益である9,375億円をすでに上回ってしまいました!

通期の見通しは1兆1,500億円まで上方修正され、総合商社初の1兆円どころか、どこまで伸ばすことができるのかという話になってきており、次元が違いますね。

また、株主還元についてもかなり改善されています。

11月には1株あたりの配当金を155円と予想されていましたが、+25円増配して180円の予想となりました。

決算を発表した2月3日(金)の終値は4,298円ですので、年間の配当利回り(税前)は4.18%となりました。

そしてさらに、自己株式取得額を+1,000億円の1,700億円まで拡大し、既存の還元策をさらに強化する内容となりました。

これにより、配当と自社株取得による総還元額は4,300億円を見込みます。

セグメント別純利益

各セグメントごとの純利益の増減を見ていきましょう。

以下、影響の大きいセグメントをピックアップします。

  • 「金属資源」は3,851億円で最も利益を計増しており、前年同期比+1,371億円(+55%)で大幅増益
  • 「複合都市開発」は1,163億円で前年同期比+860億円(+283%)で驚愕の2.8倍増
  • 「自動車・モビリティ」は1,188億円と前年同期比+330億円(+38%)で大幅減益
  • 「天然ガス」は1,156億円と前年同期比+305億円(+36%)でこちらも大幅減益

特に上記4つのセグメントも大きく増益を計上しており、今回の好決算となる要因となっています。

金属資源」は3,851億円を計上し、全体の40%を超える割合を占めており、三菱商事の根幹をなしていますが、主に豪州原料炭事業における市況上昇による影響によって+1,351億円の大幅な増益を計上しています。(尚、市況の前提条件は非公開となっています)

次に、三菱商事の決算ではあまり目立ってこなかった「複合都市開発」が前年度比2.8倍の利益を計上しています。

こちらは一過性の要因によるものでして、1Qのうちに不動産の運用会社を売却しており、その売却益として+841億円を計上しています。

したがって、来年度以降は元の巡航速度に戻ることが想定されます。

自動車・モビリティ」では、ASEAN自動車事業や、三菱自動車の持分利益の増加によって大幅な増益を計上しました。

三菱自動車の持分取り込み分については、昨年度は89億円にとどまりましたが、今期は262億円と約3倍にまで回復しており、非常に好調に推移しているようです。

最後に、「天然ガス」はLNG関連事業の受取配当金の減少、また販売事業の取引損失があった一方で、LNG関連事業における持分利益の増加によって増益を計上しました。

次に、見通しの修正の内訳を見ていきます。

修正額である+1200億円のうち、+430億円は「金属資源」で最も大きく、ついで「天然ガス+380億円、「総合素材+100億円、「自動車・モビリティ+70億円となる見込みです。

資源分野での増益見込みが目立ちますが、いずれも高騰している資源価格の市況の影響を享受することから、大幅に改善されるようですね。

中期経営計画に対する進捗状況

三菱商事は中期経営戦略2024において、以下を掲げています。

①定量目標:価格要因を除いた利益の着実な成長

三菱商事は資源分野で権益を持っており、市況の影響により収益のボラティリティが大きいという特徴があります。

一方で、安定した収益を計上し続けることが企業価値の向上につながるため、金属資源や天然ガスなどの市況の影響を受けやすい要因=「価格要因」を除く利益の着実な成長を目指しています。

②株主還元:財務健全性、配当の安定成長、株主還元に対する市場期待の3つのバランスが取れた還元政策

三菱商事は「累進配当」を採用し、30-40%の総還元成功を目処とした株主還元を行うことを掲げています。

配当に加え、機動的な自社株式の取得により、市場期待にも応える還元策を講じているのですね。

③資本配分:企業価値向上に向けて、財務規律を維持しつつ、CFを投資と株主還元に適切に配分

事業で稼いだキャッシュをどのように使うのか、という観点は事業経営において高度な判断が求められるものですよね。

中期経営計画では、営業CFは3年間で3.0兆円1年で1兆円規模の創出)、投資回収により1.5兆円で合計4.5兆円の回収を見込んでいます。

この資金使用先として、投資に3兆円株主還元に0.7兆円以上拠出するとしており、残りは柔軟に判断するとされています。

今回の決算においてそれぞれの目標に対する進捗状況が公表されています。

まずは①定量目標について、「自動車・モビリティ」や「総合素材」セグメントの収益貢献もあり、「価格要因を除いた利益」は+800億円増益となる7,300億円を計上しています。

2024年に8,000億円を達成する目標を打ち立てていますが、22年度時点で目標まで残り700億円と射程圏内に入ったと考えて良いでしょう。

資源分野だけでなく、非資源分野でも三菱商事の強さが発揮される体制づくりが続いていきます。

また、②株主還元について、上記で紹介したように今回の決算にて+25円の増配に加え、+1,000億円の自己株式取得を発表しました。

これにより、総還元性向は38%となっており、中期経営計画で掲げている方針に沿って株主還元策を実施できていることが確認できます。

最後に、③資本配分について、2022年度3Q時点では営業CFは1兆円超を達成しており、また、投資の回収も0.5兆円を超えていますので、キャッシュインは非常に好調な進捗であることが読み取れます。

また、キャッシュアウトを見てみると、投資ですでに0.6兆円を計上し、今回発表された増配や自己株式取得により株主還元で0.4兆円を計上されており、想定通りに進んでいることが分かりますね。

株価

最後に株価を見てみましょう。
2022年度における三菱商事の株価推移は以下の通りです。

年度はじめは4,600円台で推移していましたが、配当の権利落ち翌日には3,900円台まで一気に急落しましたが、その後は堅調に上昇、現在は再び上昇と下降を繰り返すグラフになっていますね。

まとめ

今回は3Q決算を発表した三菱商事について取り上げました。

金属資源」や「エネルギー」セグメントなどといった資源分野で権益をもつ強みを大いに発揮しており、総合商社で初めてとなる1兆円を超えることは確実視されており、まだまださらに利益を積み増す可能性も残しています。

圧倒的な収益を背景にして、株主への還元もさらに強化されました。

前回までは1株あたりの配当金を155円と予想されていましたが、+25円の180円まで増配が発表されました。

増配を期待していたホルダーは多かったと思いますが、まさかこれほどの増配額となると思ってもいなかったことでしょう。

さらに増配だけでなく、+1,000億円の自己株式の追加取得を発表されました。

本日発表された総合商社は上方修正増配追加の自己株式取得を発表された企業が多く、業界全体として波に乗ってますね!これは4Q決算もまだまだ期待できそうです!!

尚、私は自身の投資方針(ご参考までに記事を以下に掲載します)に従い、基本的に長期目線で個別株を保有するようにしています。

総合商社は競合他社含め高配当銘柄ですので、引き続きチャートを追いかけて購入を検討していきます!

また、3Q決算については他業界の企業もレビューしています。

各社、人気の高配当銘柄となりますので、気になる方はリンクよりぜひご覧ください。

尚、普段は決算レビュー記事に加え、米国株の個別銘柄分析もしていますので、こちらもぜひどうぞ!

今回は以上となります。ご覧いただきありがとうございました

この記事を書いた人

背徳太子

ブログ1年目の駆け出しブロガーです。

社会人をスタートさせ2年半程度で資産1,000万円まで到達しました。
本ブログでは、個別銘柄の分析、企業決算情報、経済ニュースなどを中心にして皆さんの投資判断の一助となるような情報発信をしています。

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