(※この記事は2023年2月6日(月)に更新しました。)
今回は2月6日(月)に決算を発表した住友商事の3Q決算についてまとめていきます。
この時期は各企業が続々と決算を発表します。
私が大好きな高配当銘柄を中心に、注目企業をピックアップして内容をレビューしていきますので、ぜひ投資判断のヒントとしていただければ幸いです。
米国の歴史的なインフレやFRBの金融引き締め政策の実行、またそれに伴うリセッション懸念や、まだまだ終わりが見えないロシアによるウクライナ侵攻、原油をはじめとする資源価格の高騰など、事業環境は非常に複雑で先の見通しが困難な状況です。
それゆえに、注目企業の決算を確認することにより、正確な実態を把握することができますので、投資家にとっては大変重要な情報を得る機会となります。
本日レビューするのは人気高配当銘柄の”住友商事”です。
尚、すでに決算発表した各総合商社の決算についてはこちらでまとめておりますので、ぜひチェックしてみて下さい!
(※当記事のスライドは住友商事の決算発表資料から抜粋してます)
3Q決算の概要まとめ
住友商事が発表したスライドを用いてご説明します。
決算サマリー
以下ポイントをまとめます。
- 当期純利益は4,643億円で過去最高益を計上!
- 通期見通しは前回発表から修正なしの5,500億円となる見込みであり、3Q時点で進捗率は84%に到達!
- 年間配当も115円/株で据え置きだが、新たに自己株式取得500億円を決定!
- さらに自己株式取得は追加で+1,000億円の合計1,700億円に拡大!!!
各商社ともに過去最高益となる決算を発表していますが、住友商事も同様にして4,643億円の利益を計上し、過去最高益となりました。
通期の見通しは5,500億円で据え置きとなりましたが、すでに進捗率は84%まで到達しており、やや保守的な目標設定のようにも見えますね。
また、株主還元については、1株あたりの配当金を115円で据え置きとなりましたが、新たに500億円の自己株式取得を発表しました!
決算を発表した2月6日(月)の終値は2,298.5円ですので、年間の配当利回り(税前)は5.0%となりました。
好調の収益を維持しつつ、増配とはならなかったものの、自己株式の取得を決定し、株主還元策が強化されましたので、ホルダーのみなさんも一安心だったことでしょう!
セグメント別の分析は後ほどご紹介しますが、前年度との大まかな比較はこちらをご覧ください。
前年度からは資源分野+600億円、非資源分野+560億円とそれぞれバランスよく増益し、トータルでは資源分野で1,670億円、非資源分野で2,660億円となっています。
総合商社は資源分野に強い三菱商事、三井物産と非資源分野に強みを持つ伊藤忠商事で特色が分かれますが、住友商事はどちらかというと非資源分野に強みを持つようですね!
また、今年度は円安が進みましたが、住友商事のビジネスはグローバルに展開していることから、為替の影響として+400億円となっています。
セグメント別純利益
各セグメントごとの純利益の増減を見ていきましょう。
以下、影響の大きいセグメントをピックアップします。
- 「資源・化学品」は2,189億円で最も利益を計上しており、前年同期比+743億円(+51%)で大幅増益
- 「金属」は807億円で前年同期比+392億円(+49%)でこちらも大幅増益
- 「輸送機・建機」は765億円と前年同期比+247億円(+48%)でこちらも大幅減益
- 「メディア・デジタル」は204億円と前年同期比▲106億円で大幅減益
具体的にみていきます。
「資源・化学品」は2,189億円を計上し、全体の47%を超える割合を占めており、住友商事の根幹をなしていますが、主に豪州石炭事業における市況高騰、資源・エネルギートレードの好調が要因となり+743億円(うち、資源・エネルギーで+617億円)の大幅な増益を計上しています。
こちらは前提条件を示した図ですが、原料炭や一般炭の高騰が確認できるかと思います。
次に、「金属」は807億円で前年同期比+392億円(+49%)で大幅増益となっています。
こちらは銅の市況が高騰していることから、関連事業がしっかり収益を取り込んでいるようです。
上図の前提条件の表を見てみると、ここ最近は若干市況が下がってきていることが確認できますが、通期で見てみると圧倒的に上回っており、これが増益の主な要因となっています。
次に非資源分野の「輸送機・建機」は765億円と前年同期比+247億円(+48%)となりました。
こちらはリース、モビリティ、建機の事業がバランスよく増益(それぞれ+98億円、+76億円、+73億円)となっておりますが、事業会社別に見てみると、リース事業を手がける会社で大きな収益を上げていることが確認できます。
最後に、「メディア・デジタル」は204億円と前年同期比▲106億円で大幅減益となりました。
その他の総合商社と異なり、住友商事は「メディア」の領域に力を入れていることは大きな特徴でしょう。
前年度までは順調に業績を伸ばしてきてましたが、今期は悪化となってしまっています。
収益悪化の要因としては、国内事業会社の手数料条件の変更、ミャンマー通信事業における現地通貨安やエチオピア通信事業における立ち上げコストの計上などがあるようです。
メディア部門は住友商事も中心的部門となりうる存在かと思いますので、収益の悪化はやや懸念材料かと思います。
次に、見通しの修正の内訳を見ていきます。
「金属」や「輸送機・建機」で増益となる見込みである一方で、「資源・化学品」や「メディア・デジタル」、「金属」で減益となる見込みです。
市況や事業環境の変化により、各部門で増益、減益となった結果、全社としては業績見込みの変更は無しとなりました。
尚、バッファとして200億円を確保していますので、この予想は非常に保守的に見て作成されたものと思われます。
株主還元
今回、増配の発表はありませんでしたが、1株あたりの配当は115円のままとなっていますが、今回の決算にて500億円の自己株式取得を発表しました。
各総合商社は配当+自己株式取得により、株主還元を充実化していますが、住友商事もしっかりと還元してくれるようです!
株価
最後に株価を見てみましょう。
2022年度における住友商事の株価推移は以下の通りです。
年度はじめは2,200円台で推移していましたが、配当の権利落ち翌日には1,800円台まで一気に急落しましたが、その後の前回決算発表後は急上昇、現在は2,200円台まで回復しています。
まとめ
今回は3Q決算を発表した住友商事について取り上げました。
「資源・化学品」や「金属」部門といった資源分野でしっかりと市況の高騰を取り込み、さらには「輸送機・建機」などの非資源分野でも底上げをしていることが確認でき、まだまださらに利益を積み増す可能性も残しています。
順調な収益を背景にして、株主への還元もさらに強化されました。
1株あたりの配当金を115円で据え置きとなりましたが、500億円の自己株式の取得を発表されました。
本日までに発表された総合商社は上方修正、増配、追加の自己株式取得を発表された企業が多く、業界全体として波に乗ってますね!これは4Q決算もまだまだ期待できそうです!!
尚、私は自身の投資方針(ご参考までに記事を以下に掲載します)に従い、基本的に長期目線で個別株を保有するようにしています。
総合商社は競合他社含め高配当銘柄ですので、引き続きチャートを追いかけて購入を検討していきます!
また、3Q決算については他業界の企業もレビューしています。
各社、人気の高配当銘柄となりますので、気になる方はリンクよりぜひご覧ください。
尚、普段は決算レビュー記事に加え、米国株の個別銘柄分析もしていますので、こちらもぜひどうぞ!
今回は以上となります。ご覧いただきありがとうございました
背徳太子
ブログ1年目の駆け出しブロガーです。
社会人をスタートさせ2年半程度で資産1,000万円まで到達しました。
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