(※この記事は2023年2月10日(金)に更新しました。)
今回は2022年度3Q決算発表が出揃った総合商社各社についてまとめていきます。
1月末から日系企業では決算の発表ラッシュが続いています。
高配当銘柄など注目企業は個別に取り上げて決算のレビュー記事を作成していますので、よろしければこちらからご参照ください!
今回は業界全体のレビューまとめ記事として”総合商社”を取り上げていきます。
各社ともに好決算&増配続出と業界全体として大盛り上がりの状態です!!
純利益
まずは総合商社の純利益について見ていきましょう。前年同期比でグラフにまとめています。
単位:億円 | 2022年度 3Q実績 | 2021年度 3Q実績 | 増減 |
三菱商事 | 9,558 | 6,448 | +3,110 |
三井物産 | 8,408 | 6,333 | +2,075 |
伊藤忠商事 | 6,822 | 6,789 | +33 |
住友商事 | 4,643 | 3,351 | +1,292 |
丸紅 | 4,635 | 3,274 | +1,361 |
以下、純利益についてポイントをまとめます。
- 「三菱商事」は唯一の9,000億円超となる9,558億円とぶっちぎりの決算!
- 「三井物産」は資源分野に強みを発揮し8,408億円で三菱商事を追随!
- 「伊藤忠商事」は6,822億円と前年同期比+33億円で微増
- 「住友商事」は4,643億円とすでに前年の通期実績を上回る
- 「丸紅」は4,635億円と住友商事とほぼ同等の利益水準
今年度はなんといっても資源価格の高騰により、資源分野に強みを持つ「三菱商事」や「三井物産」は異次元の決算となりました。
両社は前年同期比で+30-50%増となっており、圧倒的な収益力を発揮しましたね!
またその他各社も史上最高益となる利益を計上し、業界全体として追い風が吹いています!!
一過性の影響を除く利益
続いて各社の一過性の影響(資産売却や減損等)を除いた利益を見ていきます。
こちらの利益を見ることにより、各社の実力値を確認することができます。
単位:億円 | 2022年度 3Q実績 | 2021年度 3Q実績 | 増減 |
三菱商事 | 8,726 | 6,456 | +2,270 |
三井物産 | 8,477 | 6,660 | +1,817 |
伊藤忠商事 | 6,340 | 5,500 | +840 |
住友商事 | 4,363 | 3,251 | +1,112 |
丸紅 | 4,310 | 3,610 | +700 |
- 「三菱商事」で8,726億円と一過性の影響を除外してもやはりトップ!
- 「三井物産」で8,477億円とトップの三菱商事にかなり接近!
- 「伊藤忠商事」で6,340億円2位と4位のちょうど中間値
- 「住友商事」でなかなか伊藤忠の背中が遠い!
- 「丸紅」で4,310億円とここでも住友商事と僅差!
トップの三菱商事は純利益だけ見ると9,000億円を悠々に超えて他商社と大きな差を作っていましたが、一過性の影響を除いた利益を見てみると、2位の三井物産との差は一気に縮まってきます。
三井物産が一過性の影響があまりなかった一方で、三菱商事は不動産運用会社の売却などにより、多額の一過性の影響があったことを意味します。
また伊藤忠は純利益でみると前年同期比で微増との結果でしたが、一過性の影響を取り除くと+840億円の大幅な増益となっていることが確認できます。
非資源分野の収益力を高めてきた伊藤忠がしっかりと稼ぐ力をつけてきた証拠ともいえます。
現在は資源分野の市況により、三菱商事や三井物産が飛び抜けた好業績となっていますが、市況次第では、非資源分野に強みを持つ伊藤忠がトップになる可能性は十分にあるのではないかと思います。
通期業績予想
次に、22年度の通期業績予想を見ていきます。
単位:億円 | 2022年度 業績予想 | 2021年度 実績 | 増減 | 進捗率 |
三菱商事 | 11,500 | 9,375 | +2,125 | 83% |
三井物産 | 10,800 | 9,147 | +1,653 | 78% |
伊藤忠商事 | 8,000 | 8,203 | -203 | 85% |
住友商事 | 5,500 | 4,637 | +863 | 84% |
丸紅 | 5,300 | 4,243 | +1,057 | 87% |
- 「三菱商事」は11,500億円と総合商社初の1兆円を余裕で突破!!
- 「三井物産」は10,800億円とこちらも1兆円超えで三菱商事にかなり接近!
- 「伊藤忠商事」は8,000億円で唯一の前年同期比減益見込み
- 「住友商事」は5,500億円で丸紅とは200億円差でかなり僅差
- 「丸紅」は5,300億円となり、5社の中で最も3Q進捗率が高く保守的な見込み
今期の業績予想ですが、やっぱりトップは三菱商事で1兆1,500億円と総合商社初の1兆円を悠々と超えてきました。
昨年度の実績比較でも+2,125億円は増益幅としても5社の中で最も大きく、圧倒的な数字といえます。
続いて2番目位にはこちらもやっぱり資源分野で爆益を計上している「三井物産」で1兆800億円と三菱商事に続いて1兆円を超える見込みとなっています。
圧倒的な2トップにやや遅れをとるかたちで「伊藤忠」が続きます。
伊藤忠は3Q決算で業績予想を8,000億円で据え置きました。
前年度実績は8,203億円でしたので、5社の中で唯一の減益見込みとなっていますが、進捗率は85%とかなり高いので、保守的に設定されているかもしれませんね。
また、「住友商事」と「丸紅」がそれらに続き、それぞれ5,000億円台と史上最高益となることが確実な情勢です。
株主還元
上記の通り、各社ともに史上最高益が続出する異例の好決算続きとなっており、株主還元に期待が集まりますよね。各社の配当を見ていきましょう。
単位:円 | 2022年度 配当予想 | 2021年度 配当実績 | 増減 | 配当性向 | 総還元性向 |
三菱商事 | 180 | 155 | +25 | 28% | 38% |
三井物産 | 135 | 105 | +30 | 25% | 33% |
伊藤忠商事 | 140 | 110 | +30 | 30% | 33% |
住友商事 | 115 | 110 | +5 | 31% | 30% |
丸紅 | 78 | 62 | +16 | 29% | 30-35% |
今回の3Q決算で三菱商事、三井物産、丸紅が増配を発表しました。
前年度比較では各社ともに増配となり、しっかりと株主還元策を強化されていることがわかります。
また、配当性向は25-30%前後になっています。
急激に業績が良くなったので、配当性向は少し落ち着いた数字になってきました。
さらに、自己株式取得を含めた総還元性向は各社30%以上となっており、こちらも業績が順調に推移していることで、追加の株主還元をしていくことを決定しています。
まとめ
今回は3Q決算を発表した総合商社ついてまとめました。
全社ともに通期業績の上方修正や増配などホルダーにとっては非常にポジティブな決算が続き、発表後には株価も敏感に反応していましたね。
今年度の総合商社の業績を支えているのはなんといっても”資源価格の高騰”です。
三菱商事や三井物産をはじめ、各総合商社ともに資源権益を保有していますが、市況の高騰により、それぞれの事業で史上最高の水準で収益を計上しています。
伊藤忠商事の4Q決算次第では、全社ともに史上最高益を達成することが期待され、まさに総合商社の年と言えるかもしれません。
尚、総合商社各社の決算レビュー記事はこちらからご覧ください!
尚、普段は決算レビュー記事に加え、米国株の個別銘柄分析もしていますので、こちらもぜひどうぞ!
今回は以上となります。ご覧いただきありがとうございました
背徳太子
ブログ1年目の駆け出しブロガーです。
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