今回は本日決算を発表した三井物産について取り上げていきます。
この時期は各企業が続々と決算を発表します。
注目企業をピックアップしてレビューしていきますので、ぜひ投資判断のヒントとしていただければ幸いです。
足元では米国の利上げを要因とした円安が進んだり、リセッション懸念が広まったり、ロシアによるウクライナ侵攻による資源価格の高騰など、複雑で先の見通しが困難な事業環境です。
それ故、注目企業の決算を確認することにより、実態を把握することができますので、投資家にとっては大変重要な情報を得る機会となります。
私も弱小個人投資家ではありますが、高配当銘柄を中心にして決算はチェックし、是非とも有用な情報は皆さんにもシェアしたいと思っています。
本日レビューするのは人気高配当銘柄の”三井物産”です。
(※当記事のスライドは三井物産の決算発表資料から抜粋してます)
三井物産がFY22 2Qの決算を発表
三井物産が11月1日(火)に2Q決算を発表しました。
前回1Qの決算内容が気になる方はこちらご確認いただければと思います。
前回の発表によれば、1Q時点で事業計画対比で純利益・基礎営業キャッシュフローともに30%強の進捗で進んでおり、通期の見通しは据え置いたものの、今後の上方修正を大きく期待させる内容でしたね。
特に、同社の強みである「金属資源」セグメントで純利益の半分をカバーするなど、好況によるアップサイドを取り込んで大きく飛躍しています。
今回の2Q決算の内容はどうだったのでしょうか。詳しく見てみましょう。
決算概要
2Q実績
経営成績サマリーのスライドでご説明します。
- 基礎営業キャッシュフローは前年度比+846億円の6,115億円(過去最高を記録)、事業計画の進捗率は64%と好調をキープ
- 当期純利益は前年度比+1,345億円の5,391億円(過去最高を記録)、事業計画の進捗率は67%とこちらも好調
- 通期業績見通しを以下の通り上方修正を発表
基礎営業キャッシュフロー:11,300億円(事業計画比+1,800億円)
当期純利益:9,800億円(事業計画比+1,800億円) - 今年度内に最大で1,400億円の自己株式取得を決定
- 中間・期末の配当をそれぞれ+5円し、年間配当の下限を130円に引き上げ
GOODニュースが多すぎて大変ですが、1つずつ見ていきます。笑
本業での稼ぐ力を表す基礎営業キャッシュフロー、また当期純利益ともに事業計画の60%強の水準で推移しており、過去最高を更新しました。前回発表から絶好調をキープしていることが分かりますね。
そして高い進捗度を背景に今期の業績見通しを上方修正しました。
ちなみに修正後の進捗度は以下の通りです。
- 基礎営業キャッシュフロー:54%
- 当期純利益:55%
いずれも50%強で設定されていることが分かります。
下期にかけても上期同様の水準で稼ぎ続けることが見込まれているのでしょう。
もしかすると、基礎営業キャッシュフローだけでなく当期純利益も1兆円を超えるかもしれません!!いやーすごい!!!
そして気になる株主還元ですが、まずは自己株式取得を最大1,400億円実施することを発表しています。
さらにさらに、年間配当額は下限130円とし、+10円の増配を合わせて発表しました!!
収益力を向上させた分をしっかりと株主還元を実施する姿勢は株主にとって本当に心強いですね!握力が高まります!笑
各セグメント分析
全体感をお伝えした後は、各セグメント別に見ていきましょう。
- 基礎営業キャッシュフロー、当期純利益ともに「金属資源」セグメントだけで4割近く占める
- 資源分野は市況のアップサイドを取り込み好調に推移、「機械・インフラ」などの非資源分野も高い進捗度を維持
上図をご覧の通り、「金属資源」と「エネルギー」セグメントだけで収益の65%程度を占め、高市況の恩恵を享受している様子が確認されます。
また、同社は強みである資源分野を継続的に成長させつつ、非資源分野にも注力していき、市況の影響を低減するべくポートフォリオの拡充を目指していますが、「機械・インフラ」をはじめとして大きく収益貢献しており、早くも高いキャッシュ創造力と利益を得ていることも確認できます。
三井物産をはじめとして、商社株は景気の変化などの外部環境に大きく左右されることで有名ですが、多岐の分野にわたるポートフォリオの組成が進むことで、この傾向は今後変わっていくかもしれませんね。
上記の通り通期業績見込みを上方修正しましたが、セグメント別にこの内容を見ていきます。
やはり資源分野の「金属資源」「エネルギー」セグメントの上方修正の影響が大きいようです。
「金属資源」セグメントでは一部権益を売却することによる利益も含まれているようです。
また、「エネルギー」セグメントでは、ロシアによるウクライナ侵攻を背景としたLNG価格の高騰の影響もあってか、LNGトレーディングの収益増加を主要因として記載されています。
さらに、いずれのセグメントにおいて「為替」と記載されていますね。
足下では円安が加速度的に進んでいますが、同社のビジネスはグローバルに渡りますので、直近の為替動向はポジティブに働きます。
株主還元
続きまして稼いだ原資をどのように分配していくのか、特に株主還元について見ていきましょう。
稼いだキャッシュの使い道は主に①株主還元②新規投資③手元資金として残しておくの3択となります。
①株主還元については、冒頭でも紹介しました通り、今年度は最大1,400億円の自己株式取得に加え、1株あたり130円の年間配当の実施を決定しました。
現中期経営計画3年間の株主還元は約1兆円を予定、基礎営業キャッシュフローに対する総還元性向は目標水準となる33%に達しています。
こちらの図から同社の積極的な株主還元の姿勢がよくわかりますね。
前中期経営計画から総還元額は倍額となっています!
②新規投資について、企業の継続的な成長には新たな投資は欠かせませんよね。
同社ヘルスケア分野の新規取り組みについてメディアでも目にする機会が増えてきたように感じますが、今後も成長が見込まれる分野に積極的に成長投資していくことが期待されます。
まとめ
以上、本日発表された三井物産の決算についてレビューしてみました。
前回の決算発表でもすでに好調であることが示され、今後も期待ができる内容でしたが、今回の発表によってさらに投資家の注目を集めそうですね!
参考までに、本日の同社の株価チャートの推移はこちらです。
14:00の決算発表直後にぶち上がっています。笑
終値は3,479円でしたので、現時点で配当利回りは3.7%となります。
私は自身の投資方針(ご参考までに記事を以下に掲載します)に従い、基本的に長期目線で個別株を保有するようにしています。
三井物産は高い収益力を持ち、強みである資源分野はさらに成長させつつ、以前までは弱みとなっていた非資源分野でも積極的な投資を進め、市況の影響をヘッジしていく(安定的に稼ぐことできる)方向に進んでいると思います。
また、株主還元を重視し、上記の通り具体的な還元方針を掲げて実行に移しています。
以上の状況に鑑み、今後も長期目線で同社株式を保有し、チャンスがあればさらに買い増すことを考えています。
ぜひ、ポートフォリオに組み入れることを検討されている方はご参考にしてみて下さい。(※最終的な投資判断はご自身でお願い致します)
それでは今回は以上となります。ありがとうございました!
背徳太子
ブログ1年目の駆け出しブロガーです。
本業をテキパキこなしつつ、投資や副業にも全力で取り組んでいます。
本ブログでは、ビジネス書を通して得た知識や、企業決算情報、経済ニュースなどを記事にしています。
(参考記事はこちら)
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