【三井物産】最新の中期経営計画を発表!1兆円超の最高益達成後の目標はいかに!?

日本株決算

(※2023/5/3(水)に更新しました)

背徳太子
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こんにちは!背徳太子です!

今回は三井物産が発表した最新の”中期経営計画”を解説していきますよ!

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今回は総合商社の三井物産が新たに発表した中期経営計画の内容を解説していきます。

昨日5月2日(火)に2022年度の通期決算発表を行ないましたが、同時に2026年3月期までの中期経営計画を発表されました。

そもそも中期経営計画とは何かご存知でしょうか。話題のChatGPTくんに聞いてみると以下のように回答が返ってきました。

企業が長期的なビジョンを達成するための指針となるものであり、成長・利益目標、新規事業展開などの含む計画書ということを理解しておけばよさそうですね。

我々個人投資家が一次情報として得られる貴重なリソースになりますので、三井物産への投資を検討している方にはとても参考になる内容です。

しかしながら非常に中身が充実しているため、とっつきにくいというのが正直なところでしょう。

そこで、今回の記事では内容をコンパクトかつ重要な点をピックアップしてお伝えしますので、こちらでぜひご確認いただければと思います。

(※以下三井物産の中期経営計画のスライドから抜粋していきます)

戦略の概要

それでは早速、三井物産がリリースしたプレゼン資料から抜粋して内容を確認していきます。
まずは前回2023年3月期までの中期経営計画の総括からスタートします。

中期経営計画2023 総括

情報が多いのでのポイントをおさえておきましょう。

  • 収益性指標として”基礎営業CF”、”当期利益”、”ROE”を掲げており、すべて目標を上回る
  • 株主還元の割合については、基礎営業CFに対し34.4%、当期利益に対しては43.,6%と高水準

まずは収益性指標について確認しておきましょう。

基礎営業CFについては当初目標としていた5,500億円に対し23年3月期は1兆2,055億円と2倍以上稼ぐことができました。原油価格の高騰や為替の影響があったとはいえ想定以上に大躍進した年になりましたね。ちなみに本論ではありませんが、三井物産は当期利益ではなく営業CFを冒頭に持ってくるところも特徴的ですよね。会計上の利益以上にキャッシュへの意識が強く出ていると思います。

当期利益は4,000億円を目標としていましたが、23年3月期は1兆1,306億円とこちらも大幅に上回っています

ROE(Return on Equity:自己資本利益率)は企業の利益を株主資本で割ることで表されますが、当初の目標である10%を大きく上回り18.9%を達成しています。日本の企業の平均は8%ほどなので、三井物産がいかに効率的に利益を計上できているかがわかりますね。

そして最後に株主還元についてですが、20年4月〜23年3月期までの累計で基礎営業CFに対する還元割合は34.4%となりました。(ここも利益に対する配当性向をメインで使わないところが特徴的です)当初の目標よりキャッシュをより多く稼ぐことができていますので、それに伴い株主還元も充実化することができています。

23年3月期までの基礎営業CFと当期利益の推移はこちらをご覧ください。

資源価格の下落により16年3月に一時赤字となることもありましたが、しっかりとキャッシュを稼ぎつつ利益を計上できていることがわかります。特に直近2年間は上昇が目覚ましく、過去の上昇スピードとは次元が違いますね。

スライドにも記載がありますが、三井物産が持つポートフォリオの特徴として安定的に稼ぐことのできる資産を持ちながら、資源価格などの好況時にはアップサイドが大きく見込めます

それが顕在化したのが直近2年間であり、当初の狙った以上に成果を上げることができていると思います。

次に株主還元について、推移をご覧ください。

過去を振り返ると決して安定的に株主還元策が実施されてきたとは言えませんが、最近は業績の伸長とともに株主還元をしっかり強化していることがわかります。

配当による株主還元が過去15年間で年率12%で上昇しているのに加え、大規模な自己株式取得を進めています。配当+自己株式取得の総還元額は直近3年間で1兆円を超えるにまで膨れ上がっており、その前の3年間は5,000億円ほどでしたので、三井物産の還元策強化が顕著であることがわかりますね。

さて総括はここまでです。それでは新たに発表された「中期経営計画2026」の内容についてみていきましょう。

中期経営計画2026 概要

  • 26年3月期の収益性指標は基礎営業CF:1兆円、当期利益:9,200億円、ROE:12%
  • 株主還元については、基礎営業CFに対し37%を目標とし、「累進配当」を導入

収益性指標は前回同様の項目です。2026年3月期の目標として基礎営業CF:1兆円、当期利益:9,200億円、ROE:12%をそれぞれ掲げています。すでに23年3月期の実績ですべて上回っている数字ではありますが、資源価格が落ち着けばこの数字を達成するのは簡単ではないと思います。

そして株主還元については、基礎営業CFに対し37%の還元率を目標としています。基礎営業CFと当期利益はもちろんリンクしていますが、今後も基礎営業CFの数字をチェックする必要がありそうです。

利益ばかり追っかけているとどうなるのか。例えば、三井物産は資源権益を10〜20%保有しているケースがありますよね。これらは持分法適用会社となり、その会社が儲けるとすると保有割合に応じて会計上の利益は認識することができますが、配当を受け取ることができなければ営業CF上は何も影響がありません。

大抵の場合は投資の回収方法として配当を受け取りますので、当然配当できるように考えているとは言えますが、当期利益ばかり見ていると、「利益が出ているのに全然還元してくれないじゃん」と言ったやや見当はずれな考えになりかねませんので、注意が必要です。

さて、本題に戻りますと、今回の発表で「累進配当」の導入を明記しています。年間配当は150円を下限として業績の上振れがあればそれに応じて増配していくことになります。

すでに先日の決算発表で24年3月期の配当予想は150円としていますが、ここから減配の心配はしなくてもいいことになります。これは配当狙いの投資家にとっては非常に心強いですね。三井物産の還元策強化の姿勢が非常に強く出ている部分だと思います。

次に、今後3年間におけるキャッシュアロケーションを確認してみましょう。

こちらのスライドは簡潔に説明すると「稼いだお金をどのように使うのか」ということを示しています。スライドに記載の通り三井物産は「キャッシュ経営の徹底深化」を掲げていますので、ここは非常に戦略的に策定されていることでしょう。

内容を確認していくと、まずはいくらキャッシュを稼ぐかを示す「キャッシュイン」の項目には営業CF:27,500億円、資産リサイクル:8,700億円とあります。これらを合計すると36,200億円のキャッシュインを見込んでいることがわかります。

今後3年間のキャッシュイン36,200億円をどのように振り分けていくのか、「キャッシュアウト」の項目を確認してみましょう。

最も大きい項目は今後の成長投資のためにすでに決定しているものだけで11,700億円あるようです。全体の32%は企業成長のために使われるということですね。また、現在行なっている事業の維持のためのコストとして5,700億円を投下する方針のようです。

また、配当:6,800億円と自己株式取得:700億円の合計7,500億円は株主還元として使われます。

残りの11,300億円は「マネジメント・アロケーション」とされており、成長投資もしくは株主還元のいずれの可能性もあるようです。つまり、投資余力を残しつつ、さらなる株主還元を実行できる状況にあります。大型投資があればもちろん使い切れるのでしょうが、1兆円を超える投資を行うのは並大抵ではないでしょうから、追加の株主還元に使われる可能性はかなり高いのではないかと個人的に考えています。

最後に今後の事業計画と定量目標についてです。

24年3月期の内容は先日の決算まとめで紹介しておりますので割愛します。(よろしければこちらも併せてご覧ください:【三井物産】ついに1兆円超えの最高益を達成!最強の資源商社の決算まとめをご覧ください!

26年3月の基礎営業CF、当期利益の目標は上記の通りです。セグメント別にみるとやはり稼ぎ頭となるのは金属資源となる状況は変わりません。エネルギーセグメントと合わせると基礎営業CF上では半分以上の割合を占めています。三井物産の特徴である資源分野の強さはまだまだ際立っていくとでしょう。

そして非資源分野では機械・インフラセグメントが1,600億円ものキャッシュを稼ぐ計画を立てています。さらには化学品セグメントが非常に高い成長率で推移していく見込みでもあり、資源価格に依らず安定的に稼ぐことのできる事業ポートフォリオがさらに拡充されることが期待されます

さいごに

今回は三井物産がリリースした最新の中期経営計画について解説していきました。

資源価格の高騰により23年3月期決算では基礎営業CFと当期利益のいずれも1兆円の大台を突破し歴史的にも今までにない業績をおさめています。さらには好業績に伴い株主還元策もしっかりと強化されており、増配+自己株式取得により還元規模は過去最大までに上昇しています。

今後3年間は資源価格や為替も落ち着き業績は23年3月期をやや下回ることになりそうですが、累進配当を導入するなど株主還元の充実化はしっかりと行なっていくことが期待されます。

上記でキャッシュアロケーションについてご紹介しましたが、今後は成長投資のために1兆円規模の投資が行われる計画となっています。三井物産は資源分野に強みを持っていますが、今後は新規分野への参入も期待されさらに事業ポートフォリオが拡充されていくことが期待されます。

ニュースリリースなどを通してどのような投資を行なわれたのかチェックするのも面白いですね。(大型投資など注目度の高い内容があれば本ブログでも紹介していきます)

これからも皆さんの投資判断のサポートとなる情報を発信していきますので、宜しければご参考にしてください!

最後に、私の最新のポートフォリオはこちらでご紹介しています。

総合商社をはじめとする日本株にも投資していますが、ポートフォリオの主要構成要素は米国株です。

米国個別銘柄についても本ブログでいくつか20銘柄ほどご紹介しておりますので、よろしければご覧ください!

今回は以上となります。ご覧いただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

背徳太子

ブログ1年目の駆け出しブロガーです。

社会人をスタートさせ2年半程度で資産1,000万円まで到達しました。
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